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記事掲載

掲載紙『栄養と料理』
日 付1999年1月1日号
タイトル

がんばれ栄養士!

『栄養と料理』の1月号の、連載記事“がんばれ栄養士”のコーナーに掲載されました。

掲載内容(見出しから)
栄養士が始めたヘルスケア食品店
栄養相談や電話相談にも応じる
災害時に気づいた治療食需要の大きさ


食事に関するさまざまな悩みに答えるヘルスケア食品
  (病態栄養食品)の専門店

栄養士の活躍の場はじつにさまざま。スポーツチームや病院、学校給食などをはじめ新しい活躍の場をみずから作り出す栄養士も生まれています。全国各地でがんばっている栄養士や、栄養士が中心になって働くグループの活躍を紹介します。

栄養士が始めたヘルスケア食品店

 Dr.ミールは1998年3月にオープンしたヘルスケア食品専門の店。栄養士であり臨床検査技師でもある小野裕美さんを中心に、「こんな店があるといいね。必要だよね」という医師や看護婦、薬剤師との話し合いの中から生まれました。
ヘルスケア食品とは『病態栄養食品』とも呼ばれるもので、健康(ヘルス)をお世話(ケア)する食品のこと。 管理栄養士や薬剤師、看護婦らが交代で店頭に常駐している全国的にも珍しい店で、おもに食物アレルギーや生活習慣病などで食生活に配慮が必要な人向けにコンサルティングしながら営業しています。
たとえば腎臓病の人にはリンとカリウムを調整した低たんぱく・高エネルギーの食品、高血圧で悩んでいる人には塩分を調整した食品、肥満や糖尿病の人向けにはエネルギー調整食品などわかりやすく7つに分類して店頭に並べてあります。
ヘルスケア食品は現在一部の調剤薬局や薬屋などでも置いてありますが、Drミールの品ぞろえのよさは専門店ならではでしょう。 じつはこういった商品は流通経路が一般の食品とは異なるためにもうかりにくいとか。
そして「衣食同源」かつ「食事は楽しみであるべき」とのDrミールのポリシーから扱う商品にはこだわり、ビタミン剤などの錠剤は置かず、従来の健康食品の店との違いをはっきり打ち出しています。
スタッフの人たちはお店で健康上の相談を受けるにつけ、食生活をとり巻く環境の変化や食と健康との関連の深さを実感する毎日だとか。食事療法というとむずかしく考えられがちですが、Drミールでは実生活に基づいた食生活の相談に気軽に応じてくれるのです。さらに小野さんは次のように呼びかけています。
「病気でなくても日頃の食事の栄養バランスなどに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。Drミールでは健康的な生活を食を通してご提案するのが目的。健康志向の人たちも気軽に来店してもらいたいです」
種々の効能をうたった数ある自然食品や健康食品の中から、管理栄養士や医師、薬剤師、看護婦らが相談して商品をセレクトし、食生活へのとりいれ方をアドバイスしながら販売しているのです。
ある食品添加物の危険性を報告する論文が出れば、みんなで検討してその添加物を使用している商品の仕入れをとりやめることもあります。


栄養相談や電話相談にも応じる

 Drミールではいろいろな特典のある「ドクターミールクラブ」の会員を募っています。年会費3000円でポイントカードでの割引や健康に関する講演会などへの招待、管理栄養士による個人栄養相談や食生活のコンピューター診断などが無料で受けられます。
「栄養相談はたっぷり時間をかけてお客さまに満足していただくまで相談に応じます。ふだんの食事の注意点を指摘したり、その人の健康状態に合わせた食事療法のカウンセリングを行ったりしています。その人の嗜好まで考慮して献立を立てたりもします。また、『お客様相談室』を設けて簡単な質問には電話でお答えしてもいます」と小野さん。
また、講習会の活動はさまざまな悩みをかかえている人のために少しでも役立つようにと始めたそうです。その会場では医師による健康相談も無料で受けつけたりと、まさに至れり尽くせり。
会員数は現在300人近く。「入院中は食事療法が徹底していたけど、退院してから心配で」という生活習慣病の患者さん、「糖尿病の検査入院をしたら予備軍といわれたけど」と今後の指針がわからない糖尿病予備軍、そして「とにかくやせたい」という減量志向の女性と、寄せられる相談も相手の状況のさまざまです。


災害時に気づいた治療食需要の大きさ
じつは小野さんらがDrミールの開店を思い立ったのは'95年の阪神・淡路大震災がきっかけだったといいます。
「地震では多くの透析施設もつぶれました。そのために地震の前日に退院したかたが亡くなってしまったり・・・・。多くのボランティアに支えられていた食事の配給も腎臓病の人には無意味だったんです。治療食ではありませんから食べられなかったのです。そして治療食になる食品がどのような所で扱われていてどのような種類があるのかもわかりませんでした。多額のお金があったとしてもなにも解決できないですよね。
これは災害時に限ったことではないと気づきました。正しい食の情報をほしがっている人のアンテナになろうと思い立ったのです」
そして、やはり震災を機に「かかりつけ医」になるべく医院を開業した小野さんのご主人(元病院の勤務医)をはじめ、多くの賛同者の協力を得て'98年3月、地震の被害者の中心地でもあった神戸の市街地三宮駅前「せいでん三宮本店南館6階」にDrミールがオープンしました。

食品添加物などの化学的知識に強い薬剤師の西尾京子さん、患者さんとの対応で慣れたもの電話相談に応じるのは看護婦の池田悦子さん、朝日生命糖尿病研究所附属の病院で栄養指導をしていた管理栄養士穴倉弘枝さん、腎臓病にくわしく健康運動指導士でもある管理栄養士山中久美子さん、管理栄養士2年目で毎日が勉強という田所奈美さんら10名が販売スタッフです。
イベント時には小野さんのご主人が開業するクリニックからの支援もあります。
最初は「お客さま」という感覚に慣れなくて「いらっしゃいませ」の一言がなかなかいえなかったという皆さん。「地道にコツコツ」をモットーにがんばっています。
食事についてだれでも気軽に相談できる管理栄養士のいる場所があり、疾病の治療や予防に必要な食品が入手できるDrミール。商品を提供するだけではなく食生活の仕方を提供するという、新しいスタンスに立って成果を上げつつあります。
「今後は、在宅療養する方のための治療食の宅配を試みたり、企業に管理栄養士を派遣したりと食の大切さを伝えるためにできること、いいことは何でもチャレンジしていきたい」栄養士の活躍の場をひたすら広げていきそうなDrミールでした。


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