記事掲載
掲載紙:『神戸新聞』
日 付:2004年12月21日号
「「強み」を磨け」
『神戸新聞』の12月21日号に「Dr.ミール」が掲載されました。
「強み」を磨け
食生活サポート
神戸・三宮のせいでん三宮本店三階に、「Dr(ドクター)ミール」という看板を掲げた店がある。扱うのは健康食品やダイエット食品、腎臓病や糖尿病患者向けの病院食など。
広さは約三十平方メートルの小さな構えだが、顧客は全国から訪れる。
ただ商品を売るだけではない。八人の従業員は全員、管理栄養士。専門知識に基づき、個人の症状に合わせた食事やサプリメント(栄養補助食品)などの摂取を提案する。医師の紹介で訪れる客が多い。医療機関へ栄養指導に出向くこともある。
店には月約千人が訪れ、「楽天市場」を通じたインターネット販売も好調だ。
また会員制の「Dr.ミールクラブ」には、海外在住を含む約六百人が登録している。
オープンは一九九八年三月。「阪神・淡路大地震がきっかけでした」と、社長の小野裕美(47)は話す。震災前までは専業主婦だったが、「価値観が変わり、生まれ育った神戸のために何かしたい、と思うようになった」。
女子栄養大学を卒業し、栄養士の資格を持つ小野。震災のとき、食事療法が必要な腎臓病の患者に治療食が届かなくなり、症状が悪化したという話を聞いた。以前から「病院だけで栄養指導を行うのには限界がある」を考えていただけに「きちんと『食』をアドバイスできる店が必要だ」と考え、出店を決意した。
とはいえ「事業計画などなく、あるのはコンセプトだけだった」と小野。当初は今より店舗も小さくて「売り上げが五百円の日もあった」という。それでもプロによく指導が信頼を集め、評判は口コミで広がった。特定保健用食品や栄養機能食品などへの関心が高まったことも追い風になった。
顧客との会話を重視する姿勢は独自商品の開発につながった。今年夏に発売したタンパク質を三分の一に抑えた食パン「Be+ブレッド」は、腎臓病でタンパク質の摂取を制限されている顧客の声から生まれたものだ。
最近はテレビで特定の食品などを「体にいい」を紹介することが多いが、「根拠が納得できなければ注文があっても売らない」と言い切る。夫が医師を勤めることもあり、食事やサプリメントは治療の代替ではなく「あくまでも医師の治療を支えるもの」と確信する。
今後はさらにスタッフの接客力や指導力などを高め、信頼性に磨きをかける考え。小野は力を込める。「私たちがオンリーワンであり続けるためには、常に正しい情報を発信し、誠実でいることしかありません」=敬称略= (足立 聡)
[データ]
1997年98年3月に「Drミール」をオープンさせた。資本金一千万円、従業員8人。2004年10月期の売上高は約2億円。店名の「ミール」は英語の「meal(食事)」と「診る」をかけている。ネット販売のアドレスはhttp://www.dr-meal.com/meal/